「家賃を払い続けるのはもったいない」「家を買っても毎月の住宅ローンが払えるかどうか心配」と、悩んでいませんか。
住まい選びをするうえで「賃貸」と「持ち家」で悩む方は多くいます。
実際に「賃貸」と「持ち家」には、それぞれメリットやデメリットがありますが、情報量が多すぎて細かく理解することは容易ではありません。
そこで今回は、不動産業界で8年勤務しながら不動産関連コラムを100記事以上書いてきた筆者が、「賃貸」と「持ち家」それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
この記事を読むことで、あなたにとって「賃貸」と「持ち家」どちらの住まい選びが向いているのかを知ることができます。
さらに賃貸と持ち家の特徴を理解すれば、将来的なライフスタイルの変化にも柔軟に対応することができます。
ぜひ最後までチェックして、賃貸と持ち家の特徴を比較してあなたに合った生活スタイルを見つけてください。
賃貸と持ち家の生涯かかる金額を比較
賃貸と持ち家の比較で最も気になる点は、生涯でかかる費用だと思います。
まず結論から言うと、「初期費用が多いのは持ち家」「総額でかかる費用が多いのは賃貸」です。
持ち家の場合も住宅ローンを組むことが多いので月々の支払いになりますが、多くの場合は頭金としてまとまった金額を最初に支払います。
そのため、初期費用は持ち家の方が高くなります。
では、実際に入居から50年として賃貸と持ち家の支払う金額を比較してみましょう。
持ち家 | 賃貸 | |
---|---|---|
初期費用 | ||
頭金 | 100万円 | - |
仲介手数料 | - | 10万円 |
家賃保証料 | - | 10万円 |
敷金礼金(それぞれ1ヶ月分) | - | 20万円 |
火災保険 | - | 3万円 |
小計 | 100万円 | 43万円 |
ランニングコスト | ||
住宅ローン・家賃 | 月10万円×35年 | 月10万円×50年 |
固定資産税 | 年8万円×50年 | - |
火災保険料 | 15万円(5年に1度) | 3万円(2年に1度) |
更新料 | - | 10万円(2年に1度) |
修繕費(屋根・壁など) | 200万円(20年に1回) | - |
合計 | 5,250万円 | 6,325万円 |
表のように、賃貸の方が初期費用は抑えられますが、生涯のランニングコストは持ち家よりも賃貸の方が高い結果になります。
費用だけで決める場合は、上記の内容を参考に、検討している物件で購入と賃貸での生涯費用を比較してみてください。
賃貸と持ち家のメリット・デメリットとは
まずは、賃貸と持ち家の特徴をまとめて比較しました。以下の表をご覧ください。
賃貸 | 持ち家 | |
---|---|---|
資産 | 資産にならない | 自分の資産になる |
リフォームの可否 | リフォームが難しい | リフォームが可能 |
設備 | 比較的簡素 | 充実している |
初期費用 | 比較的安い | 高い |
転居のしやすさ | 転居しやすい | 転居が難しい |
メンテナンス | 自己負担が少ない | 定期的にメンテナンスが必要 |
次に賃貸と持ち家、それぞれのメリット・デメリットを解説します。それぞれの良いところや注意点をしっかり理解しましょう。
賃貸のメリット
賃貸のメリットは、主に以下の3つです。
- すぐに引っ越しできる
- 初期費用を安く抑えられる
- 管理費や固定資産税などがかからない
すぐに引っ越しできる
賃貸は基本的に退去の1ヶ月前までに退去通知を提出すれば、いつでもすぐに引っ越しすることができます。
そのため、隣や上の階の騒音がひどく改善されない場合でも、引っ越すことができます。
持ち家は、近隣トラブルがあったとしても、住宅ローンが残るため簡単には引っ越せません。
初期費用を安く抑えられる
賃貸の初期費用は、家賃の約4~5か月分ほどです。
持ち家は、初期費用が数百万円必要になることもあるので、比較的安く抑えることができます。
また、経済的に厳しくなった場合でも、今よりも安い家賃の賃貸に引っ越すことで月々の支出額を安くすることが可能です。
管理費や固定資産税などがかからない
賃貸の場合、貸主が家の固定資産税を負担し、物件によっては管理費も負担してくれます。
そのため、雨漏りや水道管の破損の費用は、基本的に入居者負担ではありません。
ただし、故意に壁に穴を空けたり、タバコのヤニで壁を汚したりすると入居者の負担になることもあるので注意してください。
賃貸のデメリット
賃貸のデメリットは、主に以下の3つです。
- 家がいつまでも資産にならない
- リフォームなどが簡単にできない
- 近隣トラブルも多い
家がいつまでも資産にならない
家賃を毎月払い続けたとしても、賃貸として住んでいる場合は、その物件が自分のものになることはありません。
そのため、何年住み続けたとしても物件の所有権はなく、家賃を払い続けることになります。
リフォームなどが簡単にできない
賃貸の場合、自由にリフォームできないことが多いです。
賃貸借契約書などに「室内のリフォームを行う場合貸主の承諾が必要」などと記載があれば、貸主から承諾をもらう必要があります。
壁紙を好みの色に変えたり、壁掛けのテレビを設置するときなどは注意が必要です。
近隣トラブルも多い
夜中に騒いだり、大音量で音楽を聞いたりすると、近隣トラブルになってしまうことがあります。
隣の部屋の住人とトラブルになり、ニュースになるほど大きな事件に巻き込まれる可能性もゼロではありません。
そのため、賃貸は少し気を遣いながら生活をする必要があります。
持ち家のメリット
持ち家のメリットは、主に以下の4つです。
- 近所に気を使うことなく生活できる
- 資産として残る
- リフォームが自由自在
- 万が一のときにローンがなくなる
近所に気を遣うことなく生活できる
戸建ての持ち家は、ひとつひとつの建物間である程度の距離が離れている場合が多いので、近所に気を遣うことなく生活できます。
特に戸建ての2階建ては、子どもが走り回っても、物を落としても文句をいう隣人はいません。
小さな子どもがいる場合は、持ち家の方が近隣トラブルを気にすることなく、安心して生活できます。
資産として残る
持ち家は、住宅ローンが払い終わると自身の資産になります。
売却すればまとまったお金が手に入り、賃貸として貸し出して家賃収入を得ることも可能です。
将来、子どもに相続したり贈与も可能なので、資産として考えるなら持ち家が良いでしょう。
リフォームが自由自在
持ち家はその名の通り自身の所有物になるので、自由にリフォームすることができます。
自由自在に増築したりリフォームしたりできるので、ライフステージに合わせて部屋数や間取りを変更できる柔軟性があります。
万が一のときにローンがなくなる
団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローンがなくなるケースがあります。
住宅ローンを組んだ人が亡くなった場合や、癌と診断された場合、保険金がローンの返済に充てられる仕組みになっています。
持ち家の場合、もしもの時に住宅ローンの返済が大変になることを懸念する方もいますが、団体信用生命保険の加入で安心して家に住み続けることができます。
持ち家のデメリット
持ち家のデメリットは、主に以下の3つです。
- 住宅ローンが払えないと出て行く必要もある
- メンテナンスに費用や手間がかかる
- 固定資産税がかかる
住宅ローンが払えないと出て行く必要もある
毎月の住宅ローンを払えなくなると、金融機関が土地と家を差し押さえます。
その後売却されるため、家を出て行かなければいけないケースもなかにはあります。
毎月の支払額を高く設定してしまうと支払いが大変になってしまうので注意が必要です。
メンテナンスに費用や手間がかかる
持ち家は所有者が管理するため、20年に一度くらいのペースで外壁塗装や屋根の防水工事などを自分自身で行う必要があります。
外壁の塗装や屋根の工事は、200万円~300万円ほどかかることもあります。
なので、持ち家を購入する場合は、メンテナンス費用も算入して検討してください。
固定資産税がかかる
持ち家の場合、土地と建物に毎年固定資産税が課せられます。
良い立地や建物が新しい場合は、毎年数十万や数百万円の固定資産税がかかることもあるので、事前に確認するようにしましょう。
また、空き家になったとしても固定資産税は発生するので注意してください。
賃貸と持ち家それぞれに向いている人の特徴
ここまでで、賃貸と持ち家の比較やメリット・デメリットをご紹介しました。
では、これまでの比較をもとに、賃貸と持ち家はそれぞれどんな人に向いているのか解説します。あなたがどちらに向いているか照らし合わせてみてください。
賃貸に向いている人の特徴
賃貸に向いている人はどんな人なのでしょうか。ここでは3つの特徴を紹介します。
- 転勤が多い人
- 様々な場所に住みたい人
- ローンの重みを感じたくない人
転勤が多い人
仕事の関係で転勤が多い方は、賃貸が向いています。
例えば、大手商社の方や銀行マンの方は転勤が頻繁にあり、賃貸であれば急な辞令でもすぐに引っ越しの対応が可能です。
様々な場所に住みたい人
1ヶ所で長い間生活し続けるのが苦手な方は、賃貸が向いています。
特に近年ではリモートワークで仕事が完結することも増えたため、気分転換のために定期的に住居を変えたい方には賃貸がオススメです。
また、同棲生活などライフステージの変化が予想される方も、柔軟に対応できる賃貸が良いでしょう。
ローンの重みを感じたくない人
今は金利も安く、家賃と同じ額で住宅ローンを組むことができる時代ですが、家賃とローンでは重みがまったく違います。
家賃が支払えなくなったら生活レベルを落とし、今よりも安い家賃の家に引っ越せば良いですが、住宅ローンが払えなくなると、家と土地が競売にかけられて家を失ってしまいます。
そのため、住宅ローンの支払いのストレスを感じながら生活をするのが嫌な方には賃貸がオススメです。
持ち家に向いている人の特徴
次に持ち家に向いている人の特徴を3つご紹介します。
- 子どものために資産を残したい人
- 老後に住宅費を払いたくない人
- 子どもが小さい人
子どものために資産を残したい人
将来、子どもや孫に家を残したい人は持ち家を持った方が良いでしょう。
自分が亡くなったとしても、子どもや孫に家と土地という資産を残すことができます。
また、もし子どもが将来その家が必要なかったとしても、売却することが可能なので、大きな資産になります。
老後に住宅費を払いたくない人
家賃は、年齢関係なく住み続ける限り払い続ける必要があります。一方で持ち家は、35年ローンが終われば家の支払いはなくなります。
つまり30歳で持ち家を購入し、35年ローンで65歳に支払いが完了すれば、定年後の生活を有意義に送ることができます。
子どもが小さい人
子どもがまだ小さい場合は、思い切って持ち家を購入しても良いでしょう。
賃貸では、子どもの足音や鳴き声が原因で近隣トラブルになることもあるので、騒音対策が必要になります。
そのため、小さな子どもがいる場合は、隣の部屋を気にすることなく生活できる持ち家がオススメです。
まとめ
今回は、賃貸と持ち家を比較して、それぞれの特徴や向いている人の特徴について解説しました。
費用だけではなく、本記事で紹介したそれぞれのメリット・デメリット、将来的なライフプランなども考慮して、住まいを探してみてください。
また、住まい探しには、不動産メディア「リノビズム」の下記コラムが役立ちます。
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