友人とルームシェアやパートナーとの同棲、結婚など、二人暮らしといってもその形はさまざまです。
一人で暮らすわけではないので、自分一人の希望条件で間取りや家賃等を決めることはできません。
どのような関係性であっても、お互いのライフスタイルや価値観、希望条件等をきちんと話し合った上で、決めていくことが大切です。
そこで今回は、二人暮らし向けの賃貸物件の間取りや家賃、初期費用などにスポットを当てて解説していきます。
また、二人暮らし向けの賃貸物件で重視するポイントもご紹介するので、ぜひ二人暮らしを始める際に参考にしてください。
賃貸二人暮らしのおすすめ間取り3パターン
賃貸で二人暮らしするときに選ぶ間取りは、お互いのライフスタイル・価値観によって異なります。
そこで今回は、以下の3パターンのライフスタイル・価値観に分けて間取りをご紹介していきます。
1K/1DK/1LDK | できるだけ二人で過ごしたい |
2K/2DK | 一人の時間・スペースを確保したい |
2LDK/3LDK | 各自の個室や将来の子供部屋が欲しい |
どのような間取りにもメリット・デメリットはありますので、その点も踏まえて一つずつ解説していきます。
できるだけ二人で過ごしたいカップルは1K/1DK/1LDK
- 1K:キッチンと1部屋の間取り
- 1DK:1K+4.5畳〜8畳のダイニングキッチンがある間取り
- 1LDK:1DK+リビングスペースがある間取り
できるだけ二人で過ごしたいカップルは、1K/1DK/1LDKがオススメです。
いずれも部屋が一つしかないので、寝食共に一緒にいることができる間取りで、いつも一緒にいたいカップルに向いています。
中でも、1DKや1LDKは本棚などのレイアウトで仕切りをつけることができたり、元々仕切りがついている物件が多いです。
そのため、ケンカした時などはどちらかがDKで過ごすことができ、お互いのストレスを軽減できるでしょう。
ただし、1Kや1DKの物件は基本的に一人暮らし向けで想定されているため、二人暮らしは断られる場合もよくあります。
そのため、募集条件に「二人以上入居可」と記載のある物件か、不動産屋を通じて大家さんの許可を得た物件に限られるため注意が必要です。
一人の時間・スペースを確保したいカップルは2K/2DK
- 2K:キッチンと2部屋の間取り
- 2DK:2K+6〜10畳のダイニングキッチンがある間取り
一人のスペースを確保したいカップルは、2K/2DKがオススメです。
2Kや2DKの間取りは、1990年代に作られた形で築年数が経過していることが多い物件です。そのため、家賃を安く抑えることができるのが特徴です。
また、いずれも2部屋あることから、1部屋をリビング、1部屋を寝室というように専用スペースを確保することができ、一人の時間を持つことができます。
他にも、1部屋を丸ごとクローゼットとして使うことで部屋をスッキリさせるなど、フレキシブルな使い方ができるのもメリットといえるでしょう。
一方、一緒に過ごす時間が減ることで、すれ違いの生活や仲直りのタイミングを逃してしまうリスクがあることも覚えておきましょう。
各自の個室や将来の子供部屋が欲しいカップルは2LDK/3LDK
- 2LDK:10畳以上のLDKと2部屋の間取り
- 3LDK:10畳以上のLDKと3部屋の間取り
各自の個室や将来の子供部屋、仕事専用部屋などが欲しいカップルは、2LDK/3LDKがオススメです。
2LDK/3LDKは、各自の部屋を持つことはもちろん、仕事専用部屋や子供部屋、ゲストルームなどを設けることができます。
また、部屋の広さや部屋数にもゆとりがあるため、二人がストレスなく過ごすことができることも大きなメリットです。
なお、二人暮らしで最も人気のあるのが2LDKです。
ただし、2LDKの間取りは2000年以降に流行した間取りのため、築年数が浅い物件が多く、家賃が比較的高めの設定です。
同じように、3LDKの家賃も高めです。少しでも家賃を抑えたい場合は、2DKなどの少し狭い間取りに変更しましょう。
賃貸で二人暮らしするときに選ばれることが多いのは、2LDKの間取りですが、ライフスタイルや価値観によっても変わってきますので、二人で相談して決めましょう。
賃貸で二人暮らしの家賃相場は?
次に家賃についてみていきます。
賃貸で二人暮らしの家賃相場は地域、間取りによって大きく異なります。
同じエリアでも下限〜上限の差は激しいので、今回は5大都市圏別の家賃相場の平均を表にまとめました。
なお、家賃相場は「公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会」が毎日更新している「1LDK/2K/2DK」と「2LDK/3K/3DK」の賃料相場(2022年8月8日更新)を参考にしています。
地域 | 1LDK/2K/2DK | 2LDK/3K/3DK |
---|---|---|
東京23区 | 約119,300円 | 約171,200円 |
東京23区外 | 約65,800円 | 約115,300円 |
札幌市10区 | 約42,300円 | 約58,600円 |
名古屋16区 | 約57,900円 | 約74,000円 |
大阪市24区 | 約51,400円 | 約88,000円 |
福岡市7区 | 約61,800円 | 約76,300円 |
上記の表からも分かるように、東京23区の家賃は圧倒的に高いということが分かります。
特に下限〜上限の幅が広いのも東京23区の特徴で、最高値の港区と最安値の葛飾区では約2〜3倍の差があります。
東京23区の中でもエリアによって家賃相場は異なるので「23区は高いからやめておこう!」ではなく、まずは住みたいエリアで希望条件を指定して探してみましょう。
一つのエリアに絞って検索すると、ヒットする物件数が少なくなってしまうので、複数のエリアを候補に入れることをオススメします。
家賃相場が高い東京23区でも、希望条件を全て満たした上で予算内の物件を見つけることができるでしょう。
賃貸で二人暮らしを始める際の初期費用
賃貸で二人暮らしを始めるための費用は、家賃だけではありません。敷金・礼金や引越し費用など諸々必要になってきます。
そこで次に、賃貸で二人暮らしを始める際の初期費用についてみていきましょう。
賃貸で二人暮らしを始める際に必要な費用は大きく3つに分けられます。3つ全てを合わせた金額の相場は家賃の6〜7ヶ月分になるといわれています。
今回は、下記3つの初期費用を抑える方法も合わせて解説していきます。
- 賃貸契約費用
- 引越し費用
- 家具家電費用
物件を借りるのに必要な敷金・礼金など、不動産会社に支払う賃貸初期費用は、家賃の3〜5ヶ月分ほどかかると言われており、初期費用のほとんどが賃貸契約費用となります。
また、多くの項目が家賃を基に計算されており、詳しい内訳は以下の通りです。
敷金 | 家賃0~2ヶ月分 |
礼金 | 家賃0~2ヶ月分 |
前家賃 | 家賃1ヶ月分 |
日割り家賃 | 家賃の日割り計算額 |
仲介手数料 | 家賃0.5~1ヶ月分+消費税 |
火災保険料 | 1.5~2万円 |
鍵交換費用 | 1~2万円 |
保証会社利用料 | 家賃の30~60%(必要な場合のみ) |
特に大きな金額になるのは、敷金・礼金です。
そのため、
- 資金・礼金ゼロ物件
- フリーレント物件(入居後1~3ヶ月程度の家賃が無料になる)
などの物件を探すことで、賃貸契約費用を大きく抑えることができるでしょう。
引越し費用
引越し費用は、一般的に1人分であれば2万〜4万円、2人分であれば6万円程度が相場とされています。
特に、引越し業者の繁忙期である2月〜4月は、料金が高くなる傾向にあるので、引越し費用を抑えるためには繁忙期や月末月初、土日をはずすと良いでしょう。
また、引越しをオフシーズンに行うと、割引キャンペーンをやっていることもあるので、費用が安くなることがあります。
さらに業者によっては、オフシーズンの平日に引越しをすることで、費用が倍以上安くなるケースもあるようです。
他にも、
- 価格比較サイトを利用して複数の会社から見積もりを取る
- 荷物が少なく近距離の場合は、業者を使わず自分たちで運ぶ
などの選択も良いでしょう。
家具家電費用
家具・家電を一式そろえる場合、一般的に30万〜50万円程度かかるといわれています。
この費用は、家電のグレードによって変動するため目安として考えておきましょう。
家具家電は生活必需品です。
全てを新しく購入するのではなく、お互いがすでに持っている家具家電を持ち寄って部屋づくりをすることが、費用を抑える一番の方法です。
特に新しく購入するものは、事前に計画を立てて揃えましょう。
なお、大型の家具や家電は、購入から配達まで日数がかかることもあります。引越し早々に使いたいものは、早めに購入して配達予約をしておくと安心です。
リサイクルショップやオークションで安く買うこともできるので、予算に合わせて決めると良いでしょう。
賃貸で二人暮らしの適正家賃は?
初期費用を抑えるには家賃を抑えるのが一番です。では、二人暮らしの適正家賃はいくらぐらいなのでしょうか。早速みていきましょう。
一般的に、賃貸における家賃は手取り月収の3割が目安といわれています。
二人暮らしの場合は、二人の手取り月収の合計額の3割を目安にすると良いでしょう。
ですが、合計手取り月収の3割を家賃に当ててしまうと、なかなか貯金まで回らないという声も多くあります。
そのため、結婚式費用や子供の養育費など将来のための貯金をお考えの場合は、合計手取り月収の2.5割を目安に物件を探すことをオススメします。
手取り月収と適正家賃の目安は以下の通りです。参考にしてください。
合計手取り月収 | 家賃3割 | 家賃2.5割 |
---|---|---|
20万円 | 60,000円 | 50,000円 |
25万円 | 75,000円 | 62,500円 |
30万円 | 90,000円 | 75,000円 |
35万円 | 105,000円 | 87,500円 |
40万円 | 120,000円 | 100,000円 |
45万円 | 135,000円 | 112,500円 |
50万円 | 150,000円 | 125,000円 |
二人暮らし向け賃貸物件で重視したい5つのポイント
間取りや適正家賃を把握したら、あとはその条件の中で物件を探すのみです。
ですが、家賃と物件条件がマッチしないケースも多々出てくることでしょう。
そのような時、何を優先すべきなのか、妥協できる点はどこかなど、二人の擦り合わせがとても重要になってきます。
そこで次に、二人暮らし向け賃貸物件で重視したいポイントを解説していきます。
二人暮らし向け賃貸物件で重視したいポイントは5つです。
- 家賃の上限設定
- 住むエリアや立地
- プライベート空間の有無
- 荷物の量と収納スペース
- 水回り等の設備条件
家賃の上限設定
一般的に、家賃は多くても手取りの3割が目安といわれています。よって、二人暮らしの場合は、二人の合計月収の3割を上限に設定しましょう。
月収の3割が無理なく払える金額とされているので、これ以上の金額を上限に設定することはオススメできません。
どちらかが仕事を辞めたり、何らかの事情で収入が途絶えたりすると家賃の支払いが困難になります。
だからこそ、万が一の時のことを考慮して、無理のない家賃設定をしておくことが重要です。
経済的に余裕ができれば、将来のための貯金などに回すこともできるでしょう。
住むエリアや立地
間取りや広さなども重要ですが、まずは住むエリアや立地を決めることが大切です。
駅から家までの距離や時間が、お互いにストレスを感じるかどうかも考慮して選びましょう。
引越し当初は、ちょっとした不便なことは気にならないものです。
ですが、通勤は毎日のことなので、どちらか一方が不便な思いをしていると後々のトラブルにもなりかねません。
そのため、
- 二人の通勤時間
- 急行や快速が停車する駅か
- 乗り換えしやすいか
などを確認し、お互いに利便性の良い物件を選ぶことが重要です。特に、急行は土日のみ停車しないこともあるので注意しましょう。
プライベート空間の有無
プライベート空間の有無、つまり一人の時間を確保するスペースが必要か否かをはっきりさせておきましょう。
これによって間取り選びが変わってきます。
プライベート空間が必要な場合は、最低でも2K以上は必要ですし、必要ない場合は1K〜探すことができます。
ケンカした時など、一人になれる空間があれば冷静になりやすいですが、逆も然り。同じ空間にいるからこそ仲直りしやすいということもあります。
プライベート空間は、二人暮らしをする上で最も重要なチェックポイントなので、事前にしっかりと話し合って決めましょう。
荷物の量と収納スペース
当たり前のことですが、一人暮らしよりも二人暮らしの方が荷物の量は増えるため、収納スペースの有無はとても重要です。
狭い部屋ほど収納の数が少なかったり、そもそもの収納スペースがなかったりします。
家賃を抑えることだけを考えて1Kなどの狭い部屋を選んだために、荷物が入りきらず収納するのに苦労するケースが多くあります。
二人で暮らし始めてからも荷物は増え続けるので、収納スペースが多いに越したことはないでしょう。
まずは、二人の荷物の量をしっかりと把握し、それに見合った収納スペースがある物件を選ぶことをオススメします。
水回り等の設備条件
バス・トイレは別が良い、独立洗面台が欲しい、ガスコンロは2口以上など、設備条件を整理しておきましょう。
水回りで最も重要なバス・トイレは、できれば別が良いでしょう。一人暮らしでは片方ずつしか使用しませんが、二人暮らしではそうもいきません。
バス・トイレを別にすることで、どちらかがお風呂に入っていてもトイレを利用できるようになります。
また、キッチンの広さや使い勝手についても確認しておきましょう。
追い炊き機能付き風呂もオススメです。特に、帰宅時間に差がある二人の場合は、水道代や光熱費の節約にもなるでしょう。
【最後に】二人の条件を整理し理想の物件を見つけよう
賃貸で二人暮らしを始めるためには、二人の希望条件をすり合わせることが最も重要です。
希望条件の優先順位はライフスタイルや価値観によっても異なります。
お互いの「譲れない条件」「妥協できる条件」をきちんと確認した上で、納得するまで話し合いましょう。
- できるだけ二人で過ごしたい
- 一人の時間・スペースを確保したい
- 各自の個室や将来の子供部屋が欲しい
などの価値観もしっかりと共有し、理想の間取りを見つけてください。
ただし、理想を求めすぎてしまうと適正家賃を超えてしまうことが多々あります。
必ず家賃の上限を決め、重要なポイントを押さえた上で、お互いが納得のいく物件を探しましょう。