分譲か賃貸か?最適な選択をするためのポイントを解説!

住宅に関する「分譲の購入か賃貸か」という議論はよく聞く話です。

しかし、どちらがいいのか結論が出ることはほとんどなく、多くの方は疑問が残ったままだと思います。

購入と賃貸どちらがいいのかに対しては「その人の状況によって変わる」という回答になってしまい、どちらが良いと断言することは非常に難しいです。

そこで今回は、不動産業界で働いていた筆者の経験や知識を基に「購入か賃貸か」の判断ポイントをご紹介します。

あなたの状況に合った答えを出せるように、ぜひ本記事を参考にしてください。

分譲とは?賃貸との違い

分譲の購入か賃貸かの議論に入る前に基本的な用語の解説です。

住宅に関する分譲とは「分割譲渡」の略で、例えば一棟のマンションを一部屋ずつ別々の人に売ることを分譲と言います。

分譲とは物件の持ち主が売りに出していて、購入した人が住むことを目的にしています。

つまり分譲と賃貸の違いは「購入して住む」か「借りて住む」かです。

分譲賃貸とは

「分譲賃貸」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

これは稀な区分ですが、持ち主が何らかの事情で自分で住めなくなった分譲マンションを賃貸に出しているものです。

つまり、分譲と付いてはいますがその実は賃貸と同じです。

分譲と賃貸の特徴

前述の通り、分譲と賃貸の違いは買うか借りるかです。この違いからくる両者の特徴についてご紹介します。

まずは、分譲と賃貸の特徴をまとめて比較しました。以下の表をご覧ください。

分譲の購入 賃貸
資産 自分の資産になる 資産にならない
リフォームの可否 リフォームが可能 リフォームは難しい
設備 充実している 比較的簡素
費用 まとまった資金が必要 比較的安い
転居のしやすさ 転居が難しい 転居しやすい
メンテナンス費 定期的にメンテナンス費が必要 自己負担が少ない

では、分譲と賃貸、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

分譲のメリット

分譲のメリットは以下の通りです。

  • マンションが自分の資産になる
  • 自由にリフォームできる
  • 一定期間住宅ローン控除を受けられる

マンションが自分の資産になる

購入した分譲マンションは自分の資産になります。

そのため、売却することもでき、地価が上がれば購入時よりも高い金額での売却も可能です。

賃貸物件として収益化したり、資産として相続することもできます。

自由にリフォームできる

分譲マンションは、比較的自由に内装をリフォームすることができ、間取りを変更したり、好みの空間デザインを取り入れることが可能です。

賃貸物件では自由に内装をリフォームすることが難しいため、住空間にこだわりがある方は分譲の購入がオススメです。

一定期間住宅ローン控除を受けられる

住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高に応じて、所得税や住民税の納税額が減額される制度です。

住宅の床面積が40平米以上で、床面積の2分の1以上が居住用である場合、一定期間、住宅ローン控除を受けることができます。

これは住宅を購入した際の最大のメリットとも言えます。

分譲のデメリット

分譲のデメリットは以下の通りです。

  • 頭金としてまとまった資金が必要
  • 定期的にメンテナンスの費用がかかる
  • 簡単に転居できない

頭金としてまとまった資金が必要

分譲マンションを購入する場合、頭金として数100万円のまとまった資金が必要になります。

また、住宅ローンをこの先数10年間払い続ける必要があるため、万が一返済が難しくなった場合に困ります。

しかし、どうしても返済が苦しくなった場合は、金融機関に返済条件の変更を相談することも可能です。

定期的にメンテナンスの費用かかかる

分譲マンションを購入した場合、住宅ローンの返済とは別で、マンションの管理費や修繕積立金の支払いが毎月発生します。

また、固定資産税や都市計画税も課税され、維持費や税金の支払いは住宅ローンの完済後も続きます。

そのため分譲マンションの購入を考える場合は、維持費や税金の金額も把握して資金計画を立てる必要があります。

簡単に転居できない

分譲マンションを購入した場合、転居することが難しくなります。

もちろん物件を売却したり、賃貸として収益化することも可能です。空き家として残しておくこともできます。

しかし、住宅ローンの返済や税金の支払いなどが残るため、賃貸に比べて転居のハードルは高くなります。

賃貸のメリット

賃貸のメリットは以下の通りです。

  • 転居しやすい
  • 入居時及び入居後の費用が少ない

転居しやすい

賃貸の場合、基本的に退去の1ヶ月前までに退去通知を提出すれば、いつでもすぐに転居することが可能です。

転勤や転職、結婚など、ライフステージに合わせて住居を変えることができます。

あまりに短期の住み替えだと違約金が発生する可能性もありますが、部屋に不満があれば引越がしやすいので、大きなメリットです。

入居時及び入居後の費用が少ない

賃貸は、入居時の初期費用が家賃の数ヶ月分で済むため、比較的安く入居することができます。

また、経済的に厳しくなっても、今よりも安い家賃の賃貸に引っ越すことで月々の支出額を安くすることができます。

賃貸のデメリット

賃貸のデメリットは以下の通りです。

  • 自分好みにリフォームできない
  • 分譲に比べて比較的設備が簡素

自分好みにリフォームできない

多くの賃貸物件は内装のリフォームを禁止しています。リフォームができても、ほとんどの場合は、退去時に原状回復を求められます。

DIYや住空間のデザインにこだわりたい場合は、賃貸物件は向いていません。

分譲に比べて比較的設備が簡素

賃貸物件のオーナーさんは、投資の視点から効率的に家賃を回収することが重要なので、設備投資が難しく、一般的に賃貸は分譲マンションに比べて設備やセキュリティが簡素になります。

なかには、分譲マンションのように高級感と高機能を兼ね備えた賃貸もありますが、家賃は高くなります。

分譲の購入・賃貸に必要な資金

次は分譲マンションの購入や賃貸にかかる費用についてご紹介します。

費用については見落としがちな細かい点もあるので詳しく解説します。

分譲の購入に必要な資金

マンションを購入した場合に必要な資金は次の通りです。

  • 頭金
  • 諸費用
  • ローン返済金
  • 管理費や修繕積立金
  • 固定資産税

頭金

頭金は住戸価格の1割~2割が相場と言われています。仮に4,000万円のマンションであれば、400~800万円程になります。

詳しくは独立行政法人住宅金融支援機構が公表している調査結果をご覧ください。

頭金0円で購入することもできますが、その分ローンで借りる金額が増え、支払利息と毎月の返済額が増えるので注意が必要です。ローンの審査が厳しくなることもあります。

諸費用

諸費用とは、不動産登記に関する費用や不動産取得税を指します。住戸価格からすると数%ですが決して少なくない金額です。

ローン返済金

ローン返済金は、支払う頭金の金額や返済期間によって毎月の金額が変わります。その上、自身の経済状況に関係なく毎月決まった額を返済しなければいけません。

審査が通ったからといって安易にローンを組むのではなく、しっかりと将来を見据えてローンを組みましょう。

管理費や修繕積立金

マンションであれば、共用部の維持管理や将来の大規模修繕のために、マンション居住者が管理費や修繕費を出し合います。

毎月の出費になるので、ローン返済金以外に毎月支払う費用として、きちんと事前に把握しておきましょう。

固定資産税

マンション(住宅)を購入した場合、自身の名義の資産となるため、固定資産税の支払が発生します。

固定資産税は、不動産取得税と同様に「固定資産税評価額」に一定の税率を掛けて算出されるため、購入前に予測することができます。

毎年支払わなければならない税金なので、固定資産税も購入前にしっかり確認しておく必要があります。

賃貸に必要な資金

賃貸で住む場合に必要な資金は次の通りです。

  • 敷金/礼金
  • 諸費用
  • 賃料(家賃、共益費、管理費)
  • 仲介手数料
  • 保証料

敷金/礼金

賃貸に住む場合、必要な初期費用のうち大部分を占めるのが敷金と礼金です。

賃貸の募集条件によって0円の場合もありますが、相場としてそれぞれ家賃の1ヶ月分、つまり両方合わせて家賃の2ヶ月分程度になります。

敷金は預り金のようなもので、退去後の原状回復費用に充てられ、残った金額は返還されます。

礼金は物件のオーナーに対して支払うお礼金です。敷金と違い礼金は一切返還されません。

諸費用

物件によって内容は様々ですが、代表的なものを挙げると、入居時(退去時)清掃費や鍵交換費のようなものが該当します。

入居時に発生する費用として募集要項に記載されていますが、どのような諸費用が発生しているのか、契約前にしっかり確認しておきましょう。

賃料(家賃、共益費、管理費)

賃料とは毎月支払う家賃です。共益費や管理費が家賃に含まれている場合もあります。

共益費や管理費が高めに設定されていて、見かけでは家賃が低く設定されていることもあるので、必ず総額で把握するようにしましょう。

仲介手数料

物件の案内や契約手続きを行なった不動産会社に支払う手数料です。

法律で「家賃の0.5ヶ月分」が上限として定められており、中には仲介手数料が無料の場合もあります。

保証料

家賃保証会社を利用する場合に支払うお金で、礼金と同様に返還されません。

入居者が何らかの事情で家賃を払えなかった際に、家賃保証会社がオーナーに代わりに家賃を支払ってくれます。

最近は家賃保証会社の付帯が入居条件になっている物件も増えてきているので、契約前に条件を確認しておきましょう。

分譲か賃貸を選ぶ判断ポイント

ここまで読んでいただき、購入と賃貸のそれぞれの特徴、必要な資金などの違いについて大まかに知っていただけたと思います。

しかし、結局のところ「分譲の購入と賃貸のどちらが自分に合っているのか」判断しづらい方も多くいると思います。

結論、以下の3つのポイントをあなたがどのように評価するかで判断できると思います。

  1. 家族構成や将来の家族構成の予測
  2. 検討している物件の条件
  3. 妥協できないこと

家族構成や将来の家族構成の予測

この先結婚の予定があったり、家族が増える(子供や両親など)場合は、後から簡単に転居ができる賃貸の方が良いでしょう。

結婚をしていたり、家族が増えても困らない広さの物件を購入できる場合は、物件を購入しても良いと思います。

将来の家族構成を現実的に予想すると、判断しやすいと思います。

検討している物件の条件

購入時の初期費用の総額や、毎月の支払金額、あなた(家族)の収入、貯金額を総合的に評価して、無理のない支払いであり、購入する物件に納得している場合は購入して良いと思います。

ですが、購入できるからと言って、貯金全額を初期費用に回してしまうことはオススメできません。

ローンの支払いが滞ってしまった場合、せっかく購入したマンションが金融機関に差し押さえられてしまうことになりかねません。

生活防衛資金という呼ばれ方をしますが、病気などで仕事が出来なくなり、一時的に収入がなくなっても問題がないだけの貯金は手元に用意しておくべきです。(生活防衛資金は、1年程度の生活費が目安と言われています)

妥協できないこと

本記事でご紹介した分譲と賃貸、それぞれのメリット・デメリットのどこを最も重要視するのかでも判断できると思います。

特に、あなたが求める住環境において、最も妥協できないものは何かを考えると良いでしょう。

例えば、あなたが住む場所は定期的に変えたいと思っていたとすると、購入はオススメしません。

一方でマイホームを買うことが夢だったり、憧れを持っている場合、資金的に無理なく購入できるのであれば、購入の方がオススメです。

まとめ

今回は「分譲の購入か賃貸か」迷っている方向けに、両者の比較と判断ポイントをご紹介しました。

多くの方にとっては、住宅の購入は一生で最も大きな買い物になり、購入したからには一生住むことになる可能性が高いです。

住環境の選択で失敗せず、納得のいく選択ができるように、本記事でご紹介した様々なポイントを参考にしてみてください。

-監修者-

監修者のプロフィール画像
中西 諒太
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アパレル販売員をしながら独学で宅建士を取得。賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理会社にて勤務を経て独立、株式会社了を設立。現在は、不動産賃貸業・不動産関連Webメディア運営・監修を手掛けている。

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